反戦な家づくり
郊外楽園プロジェクト
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しかし、いかんせん本業というか生業の合間の片手間になるのは致し方なく、なかなか思うように進めることが出来ずに、1年以上が経ってしまった。
しかも、その間に3.11がおき、世の中は決定的に変わってしまった。
郊外楽園で想定していた、あまり良からぬ未来社会が、一足飛びに最悪の形で目の前に立ち現れた。
気持ちばかりが焦って、頭の回路はどんどんこんがらがっていった。
それでも、なんとか気持ちを立て直すことができたのは、六甲菜園のお陰だった。
六甲菜園のブログ
8人の仲間と交代で管理したお陰で、夏の盛りもなんとか雑草や虫と共存して野菜を収穫することができた。
何よりも、土をさわることがこんなにも気持ちを強くしてくれるものかと、改めて実感した。
郊外楽園を唱えながら、今ごろそんなこと言っているのか と思われるだろうが、これが正直なところ。
もちろん、家庭菜園程度で食糧が自給できるわけではない。以前の記事を書いたときに計算してみたが、実際は全食糧の10%も賄えれば上等なほうだ。それ以上にしようと思ったら、コメも作ってニワトリや豚も飼って、という話になってくる。
食糧10%エネルギー80%自給 脱原発な家づくり
兼業農家ならぬ兼業サラリーマンや兼業フリーランスでは、とてもじゃないが100%自給はできない。それでも、やはり土から収穫するという作業は、心を支えてくれる。それは、兼業だからこそ感じることなのだろう。
そんなこんなで、たぶん方向は間違っていない、という思い込みだけを胸に、一年間右往左往してきた。自分の歳も大台に乗ってしまい、暦の年も変わってしまった。
いい加減ここらで、結局自分が何がやりたいのか、確認したおきたい。
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テーマの「郊外楽園プロジェクト再考」は、一から考え直すという意味ではない。
しつこく何回も同じことを繰り返しながら、らせん的に少しずつ進んでいこうという魂胆。
で、何がやりたいのかというと、あんまりオカネを使わずに楽しい生活をしたい ということ。
なんや、拍子抜けするような話だけれども、これが本当にやりたいこと。
だいたい根っからの貧乏性だから、カネを使って楽しむという習慣がない。カネを使っていることそのものに緊張してしまい、ちっとも楽しくない。
だから、畑で土触っていたり、海でただ浮いていたりするのが、一番楽しい。
それと同じ気持ちで、住まいということも考えたい。
あまりお金を掛けない、というのはどっちみちかかってしまう程度の金額で、ということ。
楽しくというのは ・・・・・自立と共生 ってこと。
冗談じゃなくて。
自立というのは自分の頭で考えるという意味で。別の言い方をすると、他人に理不尽な強制をされないということ。
強制されるのはストレスだし、そのストレスから逃げて慣れきってしまうのは惨めすぎる。
共生というのは、命を実感するということでもある。実は共生という言葉は好きではない。命は他の命の収奪で成り立っているのだから、本当はその業のようなものを感じるということ。
どこまでが許されて、どこからがNGなのか、判断できるようにすること。
それは、人間の関係で言うならば、食いっぱぐれる者がいないということ。
完全な平等は難しすぎてどうしていいか分からない。搾取したりされたりも、無くすことはできないだろう。
でも、すくなくとも、死ぬまで生きられないようなことはNG。命と引き替えに人としてさげすまれるようなこともNG。
言葉で書くと堅苦しくて楽しげじゃないけれども、じっさいはこうした環境は楽しいんじゃないだろうか。
ストレスをゴマカスための快楽はないけれども、ストレスを感じない快さや楽しさはある。
もちろん、これは個人的なライフスタイルで実現できることではない。それは承知の上で、少しでも近づけるように生活スタイルをつくっていきたい。
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こうして書いていると、しょせん金持ちの道楽じゃないのか という批判もある。
確かに、全然カネがなくては実現できない。一人暮らしの家賃を払うことすら厳しいという最近の若者から見たら、道楽に見えるかも知れない。
この点は、ゴメンと言うしかない。郊外楽園プロジェクトは、ポスト団塊ジュニアに象徴的な、潜在的な失業問題に応えるようなレベルにはない。
そこで「食っていく」ことが創出できれば、そうした展望も見えてくるのだが、今のところ、ある程度安定的な収入がある人を対象にしている。そういう人たちが、今の仕事を失わずに郊外楽園生活を送れるようにしよう というプロジェクトだ。
とは言え、普通にマンションや建て売りを買って3000万以上のローンを抱えて一生を追われることに比べると、格段に身軽である。
私のように年齢も大台に乗ってしまうと、たとえ1500万でも重荷だが、40歳までであれば、20年ローンでもアパートの家賃程度の負担ですむ。
だからおよそ1500万円、マックス2000万円の総予算で郊外楽園生活は実現したい。
それでも、ローンを抱えるよりも賃貸のほうがもっと身軽じゃないかという意見もある。
たしかに身軽なんだけれども、賃貸の場合は家賃を払えなくなったら、そのまま路頭に放り出される。
ローンだって払えなくなったら競売に掛けられて同じことなんだけれども、ローンの場合はまだしも銀行と交渉の余地がある。安値で競売するよりも、利子だけでも返済した方が銀行にとって得だと判断されれば、自己破産しても家には住み続けている例もないことはない。
そして、何とか20年払いきれば、老後の住処が確保される。
何よりも、自分の家であれば自分の好きなようにできるということも大きなポイントだ。
ビニールにくるまれた家で暮らすということは、私には耐えられない。
作りは犬小屋が大きく頑丈になったようなもので結構だが、材料だけは木や紙や土なんかに限る。
かくして、通常の半額くらいで、菜園がある木の家で暮らせることに なるはずだ。
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郊外楽園はいいなあ と思っても、一人(一家族)で実行するにはちょっと勇気が要る。菜園もうまくできるかどうか分からない。敷地も大きすぎる場合がある。
そんなときは、コーポラティブという方法がある。
簡単に言うと、土地の共同購入、共同利用だ。一戸建てのマンションと言っても良い。
例えば、300坪の土地は持て余すけれども、6人で共同購入すれば一軒当たり50坪。
普通の分譲では菜園を作ると50坪ではちょっと狭い。が、コーポラティブであれば屋外空間を共用できるので、充分な広さを確保できる。
また、同好の士で集まれば、菜園作りにも精が出るというものだ。
コーポラティブについては、以前の記事でも書いたので参照していただきたい
これからの家づくり
これからの家づくり
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ところが、簡単に話は進まない。
というのは、こんな郊外楽園スタイルに格好の土地がそう簡単に見つからないからだ。
いや、土地はいくらでもある。
郊外の(元)ニュータウンやその周辺に。それは、私が最初に郊外楽園プロジェクトについて書いたとおり。
無機質なひな壇造成のニュータウンを、菜園生活で生まれ変わらせたい という思いもあった。
それは変わらないのだが、現地に何度も何度も足を運んで感じるのは、やはり人を拒絶するかのような(元)ニュータウンの塀と擁壁だ。ここで暮らしても、面白くないなあ という強烈なイメージがある。
その拒絶イメージを払拭するだけのパワーを郊外楽園プロジェクトが持つためには、しばしの実績が必要。それまでは、拒絶タウンではなく、土地自体に楽しいパワーのある場所で進めたい。
そんな感じで土地を探すと、これがあるようで意外とない。
実は郊外楽園を言い始めるよりも ずっと前からそんな土地を探してきたけれども、どうしても決め手に欠ける。
というか、ある条件の人にはすごくいい場所 というのはたくさんあるのだけれども、最初の事例にするにはどうしても自信が持てない。
例えば、今でも郊外楽園を地でいっている人がたくさん住んでいるような地域もある。それも、大阪駅まで1時間もあれば通勤できる距離でありながら、100坪の土地が300万円くらいで。
ただし、車が必需品で小学校がむちゃくちゃ遠い。例えば、私が住めるかというと、カミさんは仕事を辞めなくてならないし、毎日子どもを学校に送り迎えすることになりそうだ。
この街で知り合った方も、奥さんが車でご主人を毎日駅まで送迎していると言っていた。
などなど、一定の条件をクリアーすれば、素敵な場所はあるのだけれども、どうしてもそれは特殊解になってしまうことが、ずっと引っかかってきた。
もう一つ土地の条件で難しいことがある。
郊外のニュータウン周辺には、実は探せば手頃な土地はある。ところが、そういう地域は開発調整区域といって、建物を建てられない地域に指定されているのである。
そういう土地は資材置き場用地とか菜園用地 なんていう名目で売り出されている。
これはいい と思っても、どう足掻いても家は建てられない。
何とかならないかと、唸りながら探していると、行き当たるのは別荘地だ。
別荘といっても、白浜とか軽井沢という本格的な保養地ではなく、おそらくはバブルの時に作ったであろう、中途半端な別荘地がたくさんある。
例えば、三田市と篠山市の中間などには、それらしき場所が点在している。
JRの駅からも車で15分程度の距離のところもあり、通勤しようと思えばできないことはない。
が、別荘地の生活感のなさは、時間と共にボディーブローのように効いてくるのではないかと思う。
やはり、遊びに行くところと生活するところは違う。
それに、通勤圏と言うには、少し離れすぎているということもある。
最後に、というかいくらでも情報が流れているのが田舎暮らし物件と言われるもの。
奈良県の宇陀や、兵庫県の丹波篠山方面などでは、立派な古民家がお安く手に入る。
がしかし、なんと言っても遠い。大阪まで通勤には、うまくいって2時間。
昨年は半年間くらい、週一で篠山市の現場に通ったが、これを毎日通勤するのは、ちょっとお勧めはできない。
こうした壁に何度も何度もぶつかりながら、1年以上の月日が経ってしまった。
でも、もうこれ以上はウロウロしているわけにもいかない。今年は、具体的な案件をきっちりと進めたい。
■■ 見学会のお知らせ ■■
唐突ですが、構造見学会のお知らせ
2012年2月5日(日) 。隠院В娃亜繊,泙燭蓮´■隠魁В械亜
大阪府堺市西区鳳南町 (JR阪和線 鳳駅から徒歩15分)
いわゆる郊外ではないけれども、屋上に庭を確保した住宅です
家が完成してからでは見ることのできない 吉野杉を使った構造体を見ることができます。
希望される方は、info@mei-getsu.com (@を半角に)まで連絡先等をお送り下さい。折り返し詳しい場所などを送付いたします。
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